少年野球で審判をしていると、タッチプレーやフォースプレーの際、きわどいタイミングに出くわすことがありますよね。
特に判断に迷いやすいのが、「同着(どうちゃく)」の場面です。こんなとき、みなさんはどう判定していますか?
- 打者走者が一塁に駆け込むとき、ボールと足が“同時”だったように見えた…
- 走者がベースに触れるのと、守備側がタッチするのが同じタイミングだった…
今日は、この「同着はアウトなのか?セーフなのか?」という疑問について、わかりやすく解説します!
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それでは、プレイボール!
\この記事を書いた人/

ひるきん
小学校から大学まで野球を続けた経験を持つアラフォーパパ。わが子も少年野球を始めたことがきっかけで、審判としてグラウンドに立つ機会が増えました。しかし、そこで気付かされた「野球のルール、ちゃんと分かってない…」。わが子とともに日々野球の勉強中です!
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結論、同着は「セーフ」です

先に結論から言うと、走者とボールの到達が同時だった場合、判定はセーフとなります。
意外に思われるかもしれませんが、これは少年野球からプロ野球まで、すべてのレベルで共通のルール解釈です。
でも、公認野球規則には「同着」の記載がない?

実は、公認野球規則には「同着」という言葉や、それに関する明確な条文は存在しません。それなのに、なぜ「同着はセーフ」とされるのでしょうか?
答えは、「アウトになる条件が明確に定義されている」ことにあります。
野球規則は「アウトの条件」をこう定めている

公認野球規則では、フォースアウトやタッチアウトは、次のように定義されています。
- フォースアウトの定義
- タッチアウトの定義
- 走者よりも守備側が先なら「アウト」
フォースアウトの定義
公認野球規則では、フォースプレーの場面で走者が塁に達するより「先に」守備側がその塁に触れた場合であることが、フォースアウトとなることが明記されています。
打者が走者となったために、進塁の義務が生じた走者が次の塁に触れる前に、野手がその走者またはその塁に触球した場合。
引用元:公認野球規則2025
規則5.09(b)(6)
タッチアウトの定義
公認野球規則によれば、まだ塁に触れていない走者に対して、守備側が「先に」タッチできたとき、アウトと解釈できます。
ボールインプレイで走者が塁を離れているときに触球された場合。
引用元:公認野球規則2025
規則5.09(b)(4)
走者よりも守備側が先なら「アウト」
フォースアウトとタッチアウトの定義をまとめると「守備側のプレーが走者より ”明確に先” だった場合にのみアウトとなる」ことが分かります。
逆に言えば、同時では「先」とはいえない、だからアウトの条件を満たさない、つまりセーフとなる、という考え方です。
タッチプレーでも、フォースプレーでも、これと同じ考え方でOKです。
実際の審判ではどう判断すべき?

もちろん、実際の試合では「同着」と感じるプレーでも、どちらかを“先”と判定しなければならない場面がほとんどです。
ビデオ判定がない少年野球では、審判の“目と判断力”がすべて。「同着ならセーフ」がルール解釈の基本として頭に入っていれば、迷ったときの判断や説明に自信が持てます。
保護者審判として知っておくと安心

少年野球の現場では、選手や保護者から判定に対して質問や不満が出ることもあります。そんなときも、次のように説明できれば安心です。
「ルール上、アウトと判定するには明確にボール(タッチ)が先でないといけません。今回は“同時”と判断したため、セーフです。」
実際に判定に不満がある人に対し、いざというときに説明できるようにしておけば、審判としての説得力はぐんと高まります。
アウト・セーフを正確に判定するために
アウトやセーフの判定は、試合の流れや勝敗を大きく左右する重要なジャッジです。「このジャッジでよかったかな?」と不安になる場面も多いはず。
そんなとき、頼りになるのが「公認野球規則」です。
公認野球規則は、アメリカ・メジャーリーグの「Official Baseball Rules」をもとに、日本プロフェッショナル野球組織と全日本野球協会が編集した、日本における公式ルールブック。
アウト・セーフだけでなく、野球のルール網羅されています。一冊持っておくと、自信を持った判定が可能です。
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私の中で「ふわっ」としていたストライクゾーンもしっかり言語化されており、迷いがなくなりました。これも公認野球規則のおかげです。
\ストライクゾーンの定義はこちら/
まとめ:同着はセーフ!

「同着はセーフ」という考え方は、公認野球規則に基づいた自然な解釈です。少年野球の現場では、選手や保護者に納得してもらえる説明が特に大切になります。
そのためにも、こうしたルール解釈の基本をしっかり押さえておくことで、自信を持って判定し、堂々と説明できるようになりますね。
- アウトの条件は「守備側のプレーが先であること」
- 同着はアウトの条件を満たさない(=セーフ)
- タッチプレーもフォースプレーも考え方は同じ
この記事が、少年野球で審判を務める保護者の方のお役に立てば、うれしいです!