少年野球の試合を観戦していたとき、審判を担当していたのは、別チームのパパ。その所作から、かなり審判慣れしている様子です。
0アウト、ランナー満塁の場面、打者が内野フライを打ち上げたときでした。
「インフィールドフライ!」
実にスムーズに宣告されたインフィールドフライに、「さすが!」と感心しました。
私も審判を何試合か経験しているものの、インフィールドフライを宣告した経験はありません。来るべき場面に備えて、インフィールドフライが成立する条件を整理しておこうと思います。
私と同じように、次の試合ではインフィールドフライを宣告しようと思っている保護者審判の方のお役に立てばうれしいです。
それでは、プレイボール!
\この記事を書いた人/

ひるきん
小学校から大学まで野球を続けた経験を持つアラフォーパパ。わが子も少年野球を始めたことがきっかけで、審判としてグラウンドに立つ機会が増えました。しかし、そこで気付かされた「野球のルール、ちゃんと分かってない…」。わが子とともに日々野球の勉強中です!
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インフィールドフライとは?

インフィールドフライとは、フライを打ち上げた打者を自動的にアウトにするルールのこと。公認野球規則では、打者がアウトになるケースの一つに、次のことを定めています。
インフィールドフライが宣告された場合。
引用元:公認野球規則 5.09(a)(5)
審判が「インフィールドフライ!」と宣告するのは、「この打球は、普通に捕れる内野フライだよ!」と伝えているのと同じです。たとえ守備がわざと落球しても、打者は「内野フライという前提でアウト」になります。
インフィールドフライは、ズルを防ぎ、フェアなプレーを守るための仕組みなんです。
\手元にあればジャッジも安心/
インフィールドフライに必要な3つの条件
- アウトカウントは0アウトまたは1アウト
- ランナーは一•二塁または満塁
- 内野手が捕れそうなフライが打ち上げられたとき
インフィールドフライは、この3つの条件がすべてそろったときにだけ宣告されます。「内野フライの落球で、ダブルプレーやトリプルプレーが取れる場面」とおぼえておくと、理解しやすいでしょう。
① アウトカウントが「0アウト」または「1アウト」のとき
インフィールドフライが成立するアウトカウントは、トリプルプレーが取れる0アウト、もしくは、ダブルプレーが取れる1アウトです。
ダブルプレーやトリプルプレーが取れない2アウトでは、成立しません。
② 走者が「一・二塁」または「満塁」のとき
インフィールドフライは、フライを落とした場合でもダブルプレーやトリプルプレーが取れる可能性が高いランナーが一・二塁、もしくは、満塁の場面で成立します。
ランナー無し、一塁、三塁、一・三塁、二・三塁の場面では、インフィールドフライは成立しません。
③ 打球が「内野手が通常の守備行為で捕球できるフライ」のとき
インフィールドフライは、内野手がノーバウンドでキャッチできるフライで成立します。前進守備をしていた外野手がキャッチしたとしても、内野手がキャッチできる範囲のフライであれば、インフィールドフライです。
ライナー打球やバントで上がったフライは、インフィールドフライに当たりません。打者が打ちにいって上がった打球が、インフィールドフライの対象です。
インフィールドフライは、守備側のズルを防ぐ
「なぜこんなルールがあるの?」と思ってしまいますよね。実はインフィールドフライの目的は「守備がわざとフライを落球し、ダブルプレーやトリプルプレーを狙うことを防ぐ」ためのルールなんです。
例えば…

- ランナーが一・二塁の場面で、内野にフライが上がる
- ランナーたちはフライが捕られると思い、塁を離れづらい

- 内野手が「わざと」フライを落とす
- すぐボールを拾って、三塁、二塁へと送球する

- フォースアウトでダブルプレー!
「わざと落とす不正なプレー」は、攻撃側があきらかに不利になります。
インフィールドフライが宣告された場合、フライが補給されたか否かにかかわらず、打者は自動的にアウト。フォースアウトが取れなくなるので、ダブルプレーやトリプルプレーが狙えない効果があります。
\フォースアウトってなに?を解説/
インフィールドフライは、一塁や一・三塁で成立しない?
一塁または一・三塁のとき、内野フライをわざと落としたら、どうなるか?このケースは、意外とダブルプレーを取るのは難しいです。
例えば…

- ランナーが一塁の場面で、内野にフライが上がる
- ランナーはフライが捕られると思い、塁を離れづらい
- 打者はフライの間も全力疾走

- 内野手が「わざと」フライを落とす
- すぐボールを拾って、二塁へと送球する

- 二塁はフォースアウト!

- さらに一塁へ送球
- 打者は一塁に到達していて、セーフ!
守備がわざとフライを落としても、ダブルプレーになりにくく、インフィールドフライの条件から外されています。
インフィールドフライは、打者はアウト!…走者は?

審判が「インフィールドフライ!」と宣告した場合、打者は自動的にアウトになりますが、ボールはインプレイのまま。走者は自由に進塁できます。
ただし、フライが捕られた場合はタッチアップが必要です。走者は状況を見て動かないとアウトになるリスクもあり、ランナーコーチの指示や判断がとても大切になります。
インフィールドフライを落としたボールが、ファールになったら?

打球がフェアかファウルか微妙な場合、審判は「インフィールドフライ、イフ・フェア!」と宣告します。わかりやすく言えば「もしフェアなら、インフィールドフライにします!」です。
フライを落としたボールがファールになれば、打者はアウトになりません。インフィールドフライではなく、単なるファールとして判定されます。
インフィールドフライを宣告するため、準備すること
次の試合こそ、インフィールドフライを宣告したい!そのために準備しておくことをまとめました。
- インフィールドフライの条件を頭に入れておく
- インフィールドフライの場面を審判どうしで合図
- 「内野フライならインフィールドフライ」を強く意識
インフィールドフライの条件を頭に入れておく

「0アウト、一・二塁…これはインフィールドフライかも」と、試合中に自然に思えるようになればもう安心です。ここまで記事を読んでくださった方は、インフィールドフライの基本ルールはしっかり身についているはず。
この記事の途中から読み始めた方や、まだルールに不安がある方は、ぜひ最初から読んでみてください。
それでも不安が残るようなら、公認野球規則がオススメ。公式のルールを手元に置いておくだけで、自信を持って判断できるようになりますよ。
\野球ルールの辞書!/
インフィールドフライの場面を審判どうしで合図

インフィールドフライの場面がきたら、各審判に合図を送り、共有しましょう。審判どうしで右手を左胸に当てるのが、インフィールドフライの合図で、審判メカニクスハンドブックでも紹介されています。
「心の準備、できてます」の合図にも似ていますね。
\審判のジャッジから動き方まで解説/
「内野フライならインフィールドフライ」を強く意識

内野フライが上がったら、右手の人差し指で空を指し、自信を持って「インフィールドフライ!」と宣告しましょう。
ファールラインに近い時は、「インフィールドフライ、イフ・フェア!」と宣告するのを忘れずに。
まとめ: 次の試合こそ、インフィールドフライを宣告!
インフィールドフライは、試合の流れを大きく左右する重要なルールです。だからこそ、「この場面はインフィールドフライかも」と冷静に判断し、正しく宣告できるかどうかが審判の腕の見せどころになります。
- アウトカウントは0アウトまたは1アウト
- ランナーは一•二塁または満塁
- 内野手が捕れそうなフライが打ち上げられたとき
この記事で紹介した「3つの条件」と「宣告のポイント」をしっかり頭に入れておけば、もう迷うことはありません。審判どうしの合図も活用しながら、次の試合では自信を持って「インフィールドフライ!」と声に出してみましょう。
審判に自信を持つためには、ルールの知識を深めておくのも大切。根拠を持ったジャッジが、自信あるジャッジや迷いのないコールに繋がります。
\自信あるジャッジにつながるオススメ本/
審判としての第一歩を、堂々と踏み出せますように。私も次の試合こそは…!
以上、この記事が参考になれば、うれしいです^^